今日は、五島諭さんの
「海に来ればみな海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている」
という短歌を思い出し、久しぶりに歌集を読み返す。
もちろん歌集を見ても、全ての歌が理解できるわけではないので、時間をおいて読み返すと以前とは違う歌が印象に残ったりする。
「たのしかったはずの昨日が泣いていて羽虫を振り払う夏の庭」
好きな短歌のいくつかのうち、すぐに思い付くのが笹井宏之さんの
「三万年解かれなかった数式に雪を代入する渡り鳥」
雪を代入するとは恐れ入った。
短歌が好きになったきっかけは、いまや作家でもある雪舟えまさんで、演奏に合わせて短歌を詠むライブもされていたのだが、むかし東京で、同じ企画に出たことがある。
「行くこともない島の名を知っていてそれが心の支えだなんて」
と聞こえてきたとき、まわりの音がまるで聞こえなくなったような感覚に陥った。
はっきりと意味のわかる歌ではないけど、いま思えば、何となく出したCD-R作品が思いのほか好評で、いきなり東京でライブするようになったり、次の作品のことを考えて気が重かったりして、無理やりにでも動機付けをして何とかやっていた私に突き刺さったのかなと思う。
「両親よ何も恐れず生きなさいニューヨークビッグパフェをおごるわ」